そう聞いて驚く人もいるかもしれません。
まず脳科学の視点から言いますと、赤ちゃん教育は生まれたその日から始めなければいけません。
脳の場所によって異なりますが、出産直後から脳を働かせて神経細胞を使うと脳細胞のシナプスが増え始め、生後8ヶ月から3歳くらいの間にシナプスの密度が最大になると言われてます。(天才脳をつくる0歳教育、著:久保田競より)
愛着の絆と脳の発達は密接で、子どもは生後3ヵ月頃まではneed(要求)の時期と言われます。これはどういうことかと言いますと、その頃の赤ちゃんは胎児の状態なのです。ですから、赤ちゃんはまだお腹の中にいるのと同じ。そんな状態の赤ちゃんの要求に適切に応えていくことで、赤ちゃんはこの世界が信頼に値することや自己の存在を生きているだけで価値があると認識する最初の基礎が出来るのです。そして、そのことは私たちがとても重要視する視点であり、また愛着の原点なのです。
やがて9ヵ月以上からはwant(欲求)の時期となり赤ちゃんの欲求の時期となります。もちろんこの時期以降も赤ちゃんは育ててくれる大人に100%の依存をしないと生きていけません。
赤ちゃんは少しづつ発達を遂げていく中で、言葉が出るようになり、寝返りが出来き、お座りが出来き、離乳食を食べはじめ、ハイハイし、二足歩行になり・・そうやって、一つひとつ時間をかけて習得していくのです。
私たちが、自分の欲求や思考一つで体が上手く動くのはこういった当たり前とも言える発達を遂げてきたからなのです。
その自然な人間の発達過程と並行して、心の(情緒を感じる脳の機能)も発達していくのです。体や行動の発育は見た目に解りやすいものですが、心の(情緒を感じる脳の機能)発達は見た目では解りづらい。しかし、体の発達同様に、いや、もしくはそれ以上に心の機能の発達は人と人とが心豊かに繋がり合う上で重要な発達だと言えるのではないでしょうか。その部分を育てることの大切さを今の私たち社会は失いつつあるのかもしれません。
過去、子どもたちを取り巻く環境は現在の環境に比べ遥かに豊かな機能を社会そのものが果たしていたように思います。
子ども(赤ちゃん)の発達とは、見える領域(体や行動の発達)と、見えない領域(共感能力や情緒の発達)この二つが両輪の輪のようにバランス良く発達することが大切なのです。そようにして、子どもは3歳頃まで親との愛着の絆を結ぶことで、心に保護の鎧をまとい柔軟で豊かな人間性の基盤を造れるのです。虐待されて育った子どもの脳は通常の成長に比べ萎縮しているというデータもあります。心は脳と繋がっています。感情や思考は脳がコントロールしているのです。その脳が赤ちゃんの無防備な時期に不適切な関わりによって、成長が著しく妨げられることや、深い対人不信を持って大人になったとき、その子はもちろんのこと、家族、そして社会に与える影響は決して良いものとは言えません。
そのために、私たちは特に社会的にリスクを抱えた家庭を優先的に訪問します。社会的にリスクを抱えるとは、経済的な弱者、家庭的機能不全であり、社会から孤立しているケースが多いのです。
これは一見ネガティブな状況のように見えます。しかし、その家族は社会とつながるチャンスがあるポディティブな一面も意味します。
人生は多かれ少なかれ乗り越えて行かなければいけない問題が生涯のどこかで各々に生じるものです。その時、人とは、自分にとって信頼に値する存在だと思えることは人間関係を円滑に結ぶ上で大切であり、親として子どもが愛される人生を歩んでいくことは、健やかな成長と共に誰ものが望むことではないでしょうか。
訪問は支援を必要とする家族の要請により、House Call Supporter養成講座(o`hana)の研修を受けた訪問員が伺います。私たちのこの活動が、小さくとも社会に貢献できる確かな一歩になることを信じて豊中のにこにこエプロンの家庭訪問型支援は歩んでいきたいと思います。